がんばろう東北、がんばろう日本新極真ボランティア隊が被災地・女川町へ

2011年4月29日 宮城県女川町

Text/本島燈家  Photos/松井孝夫


東北に元気を伝える活動は今後も継続的に行っていく予定だ。この集合写真には避難所の人たちも加わった。

ゴールデンウィーク初日の4月29日、緑健児代表を隊長とする新極真会ボランティア隊が被災地である宮城県牡鹿郡女川町へ。775人の被災者が生活する避難所で炊き出しを実施。さらには宮城支部の道場生たちとの稽古、演武も行なった。



炊き出しは昼と夕方の2回行なわれた。
 
被災した宮城支部の子供たちは青空の下で元気に稽古。

被災者の方々に向けて演武も披露した
 
避難所の体育館前に張られたテントには大勢の人が。

被災地・女川町で炊き出し、稽古、演武 武道精神で自分たちができることを笑顔と元被災地・女川町で炊き出し、稽古、演武 武道精神で自分たちができることを笑顔と元気を届けたい―。気を届けたい―。

「笑顔と元気でいきましょう!」

ボランティア隊の隊長である緑健児代表がスタッフに声をかけ、1回目の炊き出しが午前11時30分にスタートした。各自の上半身には「負けじ魂」「NEVER EVER GIVE UP JAPAN」とプリントされたTシャツ(避難者にもプレゼントされた)。好天に恵まれたこともあり、テント前にはすぐ行列ができた。
「栄養をつけて頑張ってください」

先頭に立って避難者と触れ合う緑代表。三好一男副代表、藤原康晴支部長をはじめ各地から集った支部長たちも声を張り上げる。被災地・宮城からも金田和美支部長や道場生か参加。元キックボクサーの武田幸三氏も吉本興業の俳優チームとともに隊に加わった。
 昼の部のメニューはカレーうどん、韓国ぞうすい、サラダなど。複数の飲食店を営む株式会社ブルームや和ごころ「あまみ」の協力により、いずれも本格的な味付けがなされている。テントや調理器具の輸送は奥井建設が担当。テント内にはテーブルも用意され、1時間もかからずに1000食以上が行きわたった。



家を失った道場生も気合いをこめて演武を行なった。

バスは朝7時すぎに現地に到着。まずはテントやテーブルを準備する。
 
日の丸に「負けじ魂」の文字が入った応援Tシャツをプレゼント。

昼の炊き出しは11時30分にスタート。
 
金田和美・宮城支部長が持参したこいのぼりが空を泳いだ。

子供からお年寄りまでが列をつくった。
 
三好一男副代表も四国から参加。

関東近郊の支部長、さらに青森から鳴海沖人支部長も。
 
韓国料理などいくつもの飲食店を経営する(株)ブルームの平古場伸社長も調理班として協力。

和ごころ「あまみ」の叶実統社長も自ら調理を行なった。
 
テントや調理器具などの輸送に協力したのは奥井建設のみなさん。また、元キックボクサーの武田幸三氏も吉本興業の俳優チームを率いて参加した。

ここ宮城県牡鹿郡女川町は東日本大震災で甚大な被害を受けた地域。地震当日の3月11日から避難所として使われている女川町総合体育館には、この日(4月29日)の時点で775人が生活していた。ダンボールで仕切られた居住スペースには、まだ春の暖かさはない。食事は一日2回配られるがメニューのバリエーションは乏しい。周囲には津波にのまれて崩壊しか町が広がっていて、娯楽と出会う機会も少ない。
「強くなるほど思いやり、やさしさを発揮するのが武道精神。私たちができることで、少しでも元気になってもらえたらうれしい」

そんな思いで実現した今回のボランティア活動。炊き出し後には、グラウンドの芝生で宮城支部の道場生との稽古が行なわれた。別の避難所から集まった20名超の少年部も参加。家が流されてしまったため道着はないが、久々の稽古が楽しかったのだろう、時間が経つごとに表情が輝いていく。緑代表や山本健策支部長から技の指導を受けると、真剣な目で何度も繰り返していた。続いて行なわれた避難者を前にしての演武でも、子供たちは平安Iを元気に披露し、大きな拍手を浴びた。「みんな一時的につらいことを忘れたと思います」と金田支部長は語った。

午後4時30分からは炊き込みゴハン、けんちん汁、もつ煮込みうどん、別地区から合流した秋元国際奨学財団のカレーライスなどが用意された。2回目の炊き出しは6時に終了。最後にあらためて避難者にエールを送り、ボランティア隊はバスで会場を後にした。
「来てよかった。こういう大変な状況の中でも笑顔を見せてもらい、こちらのほうが感謝したいぐらいです。現場を見たことで、ますます長期的に応援したいという気持ちが強くなりました」と緑代表。こうした復興支援活動は今後も継続的に行なわれる予定だ。



保岡興治・前衆議院議員も駆けつけた。
 
外に出られない人にも料理を運んだ。

避難所のすぐ近くには津波にのみこまれた町が広がっていた。
 
壁には全国からのエールや「希望」「夢」といった習字も。

金田支部長がボランティア隊に謝辞を述べた。

宮城支部道場生の稽古は午後3時にはじまった。まずはトラックをランニング。
 
グラウンドに響き渡る気合いで基本稽古。

緑代表が指揮をとり、支部長たちも前に立った。
 
演武に向けて少年部が型の確認。

緑代表は現役時代の武器だった中足での横蹴りを伝授した。
 
続いて山本健策支部長が上段廻し蹴りの見本を見せる。

いよいよ演武がスタート。まずは少年部が平安Tを披露。
 
藤原康晴・長野支部長は征遠鎮の型を。

高野優希、山本将也が組手を。
 
山本支部長が四方板割りを。

最後は小井泰三事務局長がバット折りを行なった。
 
宮城支部の父兄や避難所の人々から大きな拍手が。

奮闘している自衛隊員の前でも基本稽古。
 
夕方の炊き出しには別の場所で活動していた秋元国際奨学財団のボランティア隊も合流。

急に降り出した雨の中でも笑顔と元気を忘れなかった。
 
最後は恒例の10本締めで終了。