20歳になったばかりの篠原葉子にとって、今大会は人生の正念場といってもいい舞台だったかもしれない。男子中量級の加藤大喜が欠場したため、ワールドカップ代表メンバーの中では唯一の出場者となった。さらに本人は最後まで隠し通していたが、ワールドカップで女王マルガリータ・キウプリートと対戦した際、胸骨を骨折するケガを負っていたのだ。
全四国大会は見送ったが、このウエイト制を欠場するという選択肢は彼女にはなかった。日本代表として海外勢と対峙したからこそ、全国大会で優勝しなければいけないという思いは強くなっていた。
馬頭愛海との初戦、浦中美夢との決勝戦。いずれも対戦相手だけでなく、プレッシャーやケガの痛みも立ちはだかった。決勝戦は最終延長までもつれる大接戦となったが、体重を乗せた突き、左右に動いてからの下段を軸に迫力ある打ち合いを展開。シードの葛上かれんを下して勝ち上がった浦中も16歳にして王座を狙える存在だったが、最後に勝負を決めたのは篠原のラッシュだった。
自分との闘いにも勝利した篠原は、また一つ階段を上がった。前を走る将口恵美の背中も、しっかりと照準にとらえたに違いない。
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